こんにちわ。
夜間痛専門鍼灸整体院武蔵 院長 田中実です。
今回は、当院で専門としている「夜間痛」についてお話していこうと思います。
「夜間痛」と聞いてどのようなことを思い浮かべますでしょうか?
読んで字のごとく「夜間の痛み」ですね。
一日が終わり、食事をしてお風呂に入り、快適な布団に寝ころび幸せな夢の世界へいざ参らんとするときに、体の痛みがジワリジワリと忍び寄ってくる。
気が付けばうずく痛みが続いて襲ってきており、寝るになられない、寝ていても寝返りやちょっとした体勢の入れ替えなどで激痛が襲ってきて目が覚めてしまう。
このような経験をしたことはありませんか?
それが「夜間痛」です。
主に出現するところは「肩関節」に多く出現します。
夜に肩がうずくように痛みが出る、どこが痛いのかわからないくらい肩が痛い、
夜中に出現する痛みでとても危険なものもありますので、そのことに関してはまた、後日お話させていただけたらと思います。
今回は、肩関節に伴う夜間痛について主に語っていきます。
では、そのように不快な夜間痛はいったいなにが原因なのでしょうか?
答えを言ってしまうと、
はっきりとしたメカニズムは解明されておりません。
筋肉・腱・関節包が原因と言われたり、血流や体温が原因と言われたりしています。
夜間痛が起こりやすい疾患が存在します。
いわゆる「四十肩・五十肩」です。
突然肩が痛くなりまったく腕が上がらない状況になった場合、みなさんは整形外科を受診すると思います。
この時、整形外科では、レントゲンを撮って骨に異常がなければ、大方、四十肩や五十肩と医師より話をされると思います。
この時、診断される四十肩・五十肩は、病名ではなく俗称という形になります。
正式には「肩関節周囲炎」といわれます。
肩関節周囲炎も読んで字のごとく肩回りの炎症があれば、肩関節周囲炎ですので、原因がはっきりしない肩の痛みがあるときの診断名としてつけられます。
正確には、
「肩関節の骨や軟骨に異常を認めず、周囲の筋肉や靭帯や腱が炎症や老化や損傷(けが)・断裂を単独あるいは複合して生じて、肩の痛みと可動域制限をきたす病気」 (参考文献:井尻慎一郎『痛いとことからわかる骨・関節・神経の逆引き診断辞典』)
のことを肩関節周囲炎といいます。
肩関節周囲炎の中に、原因がはっきりして診断名が付いたものに、
腱板炎・肩峰下滑液包炎・上腕二頭筋長頭腱炎・関節包炎・石灰沈着性腱炎などがあります。
今後も肩が痛くて原因がはっきりしてきたら新たに診断名が作られていくことになります。
さて、
話を夜間痛の原因に戻します。
上記のような疾患で夜間痛が起こることが多いのは事実ですが、病院へ受診して検査をした結果しっかりとした原因がはっきりしない夜間痛は発生機序がはっきりとしないということになっております。
いわゆる四十肩・五十肩と診断される肩関節周囲炎の時です。
四十肩・五十肩の夜間痛の原因を西洋医学的観点と東洋医学的観点で下記に説明していきます。
西洋医学的な観点での仮説
原因として考えられる仮説が2つあります。
①肩峰下圧の上昇
肩峰下とは、肩峰、烏口肩峰靭帯、烏口突起で構成される烏口肩峰アーチの直下のことをいいます。
(参照:解剖学 改定第2版 P.43 図2-21)
肩峰下滑液包と呼ばれる関節駅の袋が烏口肩峰アーチの下にあります。
この肩峰下滑液包が炎症を起したり、肩の筋肉が付着している部位が炎症を起したり、筋肉の過緊張状態によって、肩峰下圧が上昇します。
この炎症以外にも、関節包の肥厚や繊維化することによって関節包の容積が減少することによって圧が上昇します。
②肩峰周囲の異常なモヤモヤ血管
こちらの説は、「オクノクリニック 奥野祐次先生」が学術発表されております。
肩関節周囲に異常に発達したモヤモヤ血管が原因で夜間痛がでるという研究発表をされ、現実的に数多くの患者さんを治療されておられます。
私個人的には、血管内にカテーテルを挿入して造影し、モヤモヤ血管があり、すぐに改善するのであればこれは夜間痛の原因となると考えています。
今までよくわからないような状態だった夜間痛にはっきりとした原因が明確になったのであればまったくもって素晴らしいことです。
東洋医学での観点での原因
続いて、東洋医学的に診て夜間痛とはいったいどのような状態なのかを述べていきたいと思います。
東洋医学は、現代の西洋医学と違う独特な生体観を持っています。
人間の体の中で、大切なものが3つあります。
それは、「気」「血」「水」です。
この3つのものが体の中を円滑に巡ることで、体は健康でいられます。
しかし、
これらのものが極端に少なくなったり、流れが滞ったりすることによって体に悪影響を及ぼしていきます。
五臓と呼ばれる臓腑に異常が出た場合、気血水に問題が発生します。
五臓とは、「肝心脾肺腎」と呼ばれる臓腑の総称です。
この五臓は、気血水を作り出すとともに気血水によって栄養されています。
何らかの原因でこの五臓の働きが悪くなると、気血水が作られなくなり、五臓が栄養不足になったり機能低下が起こります。
このように東洋医学では独特な世界観で体をとらえています。
そのため、西洋医学とは違う切り口でお体を診ていくので西洋医学ではどうしようもなかった症状でも改善をしていくことが可能です。
さて、話を夜間痛に戻します。
東洋医学の観点から夜間痛の原因を考えた時、「瘀血(おけつ)」となります。
体には気血水が滞りなく流れていることで健康となっています。
肩関節をめぐる血が滞ることによって、瘀血が発生します。
瘀血は、生活環境や臓腑が弱ったりすることによって、血の循環が悪くなって作られる病理産物です。
夜間痛の危険なサイン
夜間痛の中でも危険なサインもあります。
骨折が疑える時も夜に痛みがきつくなり、楽な姿勢がないようなときもあります。
更に、腫瘍の疑いも出てきます。
夜間痛について肩の痛みを中心に述べさせていただきましたが、危険なサインとしては、骨折と悪性腫瘍も頭に入れておく必要はあります。
そのため、夜間痛がある場合は、きちんと病院で検査をしてもらい四十肩・五十肩などの重篤な状態にないことを確認した上で東洋医学の受診をお勧めさせていただきます。
病院で原因がはっきりしない痛みであれば、私の鍼灸整体が夜間痛を一刀両断いたします(^^)